フィリピン駐在員の護身術 ~強盗、テロ、事故から身を守る~

護身術の伝授の前に、まずフィリピンが治安面でどういう国なのか、まず確認しましょう。

Global Noteの統計データでは、2000年から2013年までの殺人発生率は10万件当たり9.31件、2004年から2008年までのテロ発生件数385件、テロ事件死亡者数287人となっています。

日本外務省が2015年11月に発表したフィリピンの危険情報では、首都マニラを含むボホール島以北、パラワン州以東については4段階中レベル1としているものの、まだ日経現地法人の少ないミンダナオ島やホロ島などのフィリピン南部でレベル3の地域が見られ、実際同地域で外国人3名を含む観光客ら4人が誘拐される事件が15年9月に起っています。またフィリピン南部は中東のISに影響を受けたイスラム過激派の活動も活発で、フィリピン南部での外資系企業の事務所設立の障害となっています。

フィリピンの交通網は整備が進んでおらず、首都マニラでも道の補正が満足にされていない地域はびっくりするほど多くあります。6車線道路で横断歩道のない場所を歩いて横断したり、信号を守らなかったりと、交通マナーも市民に浸透していないのが現状です。なので外資系企業では会社専属ドライバーの採用に神経を使っているようです。また、海洋国家ということもあり、船舶の事故も多発しています。

そんな中、どうやって駐在員の方々は我が身を守ればいいのか? 一つは、「危ないところには近づかない」こと。 先ほど出てきた危険地域指定区でどうしても働かないといけない駐在員の方々もいると思いますが、せめて日が落ちた後もそういった地域にいることは避けるべきです。また夜の外出を避けることで、交通事故に出くわす確率は格段に低くなります。

次に「人込みを避ける」。窃盗もそうですが、近年のテロは、多くの人を巻き添えにするという目的のため、人が多く集まる場所で発生することが予測されます。空港から市街地と、やはりそういった場所を避けることが難しいの事実ですが、その際は細心の注意を払いましょう。そうすることで置き引きなどにも注意が行き渡ります。

そして、「フィリピンについてよく学ぶ」こと。タクシーの乗り方、いかがわしい勧誘の多い地域、現地人に目をつけられる服装など、知ることによって対策を容易に考えられる事件は多くあります。ネットで調べるもよし、先にフィリピン駐在事務所に駐在する先輩、経験者に聞くもよし、JETROなどの日系企業支援機関に問い合わせるのもよし。方法はいっぱいあります。車の運転だって、事前に道路の整備状況が悪い、あまり交通ルールを守るフィリピン人が少ないことを知っていれば、ゆっくり運転しようなど、身構えができます。

日本人にとって生活しやすいフィリピンにあって、気が緩みがちですが、駐在員の皆様、気を引き締めていきましょう!